わたしらしく、暮らせるまち。
2018年2月20日

としまぐらし会議第4回 ピッチイベント ~プロジェクト発表&コラボレーション可能性タイム~

昨年11月から開催されてきた「としまぐらし会議」。とうとう迎えた最終回では、「わたしらしく、暮らせるまち。」を実現するためにチームごとに練ってきたプロジェクトを発表します。2018年2月4日(日)、池袋にある重要文化財「自由学園明日館」に集まったのは、これまでの参加者に加え、企業や学校をはじめ、豊島区に何らかの関わりや関心のあるひとたち。チームメンバーだけでは実現の難しいことも、外部の団体とコラボレーションすることで、ぐっと現実味が増しそうです。


これまで歩んできた道

まずは、この日の会場となった「自由学園明日館」を代表して、「としまぐらし会議」参加メンバーのひとりでもある福田さんのあいさつから。

「ここは歴史ある建物ですが、誰でも自由に使える施設でもあります。そんな『明日館』のような建物を、僕たちの子や孫にまで残していける未来のためにも、今日はいい発表をしましょう!」

続いて主催者を代表して、豊島区女性にやさしいまちづくり担当課長の宮田さんから、あいさつに加え、これまでの「としまぐらし会議」を振り返る動画が流されました。

第1回の自己紹介の様子、その日の集合写真、“池ブルックリン”というワードが生まれた瞬間、第3回のときに撮った全員のポートレート……。 はじめて顔を合わせてから3ヶ月も経っていないはずなのに、絆の深さを感じる写真の数々。
会場のみなさん、想いを嚙みしめるように見入ってしまいます。同時に、これから行う発表への気合いを、改めて注入されたようでもあります。

「プロジェクトのテーマはさまざまですが、どれも、豊島区の可能性が詰まっています。今日は『としまぐらし会議』の最終回ではありますが、スタートの日でもあります!」

4回にわたって司会進行を勤めてくれた古瀬さんも、「決まったテーマをもとに会議室で話し合うという従来の会議スタイルではなく、型にはめないテーマ・場づくりは、それだけで、ひとつの挑戦でした」と、「としまぐらし会議」に懸けた想いを振り返ります。
さて、いよいよ発表がはじまります!


農縁公園

トップバッターが掲げたプロジェクトは、「農縁公園」。

豊島区には自然や緑が少ないという現状を見つめ、まちのみんなの顔が見える“縁”を、公園のなかにつくることにしました。

たとえば、公園の一角を活用して、そこにちいさな農園を作る。それを、豊島区が委託した運営事務局で管理していきます。収穫祭を企画したり、採れた野菜を区内のマルシェに出品したり、そういった企画も挙げられました。

最後に、空き地、初期費用、アドバイザーなどが、欲しいリソースとして挙げれらました。

コラボレーション可能性タイム

(「コラボレーション可能性タイム」では、全聴衆者から提供できるリソースや応援メッセージを募ります。チームの外から協力を得ることで、プロジェクトを一歩前に進める力となります)

「収穫したものを豊島区以外の場所で食す機会があれば、『豊島区ではこういうことをやっているのか』と興味を引くことができるかも」

「エコの視点から、都市型の農園活用が、すでにブルックリンでおこなわれています。環境やエネルギーなどの面で、長いスパンで計画することも大切かもしれない」


みそのわ ~まちのえがおがうまれるテーブル~

さまざまなイベントを通して、世代を超えて集まれる場をつくるプロジェクト、みそのわ。

「このメンバー、このチームで歩んできたように、だれもが笑顔で幸せな気持ちになれるような場を」
と、メンバーが出会ったことで進められたプロジェクトに手応えを感じ、それは豊島区というまちにも還元できると考えたようです。

実は、3月3日にキックオフイベントとして、みそづくりのイベントを明日館で開催することが、すでに決まっているということで、告知用のチラシが会場の皆さんに配布されました。まさか、すでにプロジェクトを実行に移しているとは……! 行動力に脱帽です。

コラボレーション可能性タイム

「僕は、上池袋で、風呂なし物件や空き家をつかった活動をしています。事前にプロジェクトについて聞いていた段階から、可能性があるなと感じていて。年配の方にもつながりがあるので、紹介します」


池ブルックリンプロジェクト

「みなさん! もう“池ブルックリン”という言葉は、ご存知ですよね!?」

突然の元気な呼びかけと、すっかりお馴染みとなった“池ブルックリン”というワードに、会場全体が和みます。

豊島区には外国人が多いことから、多様な文化やひとに触れられるイメージが強い。ただ、普通のひとや普通の暮らしを発信することだって、同じように実は面白いのではないか。それに思い当たったことが、プロジェクトのきっかけでした。

そして、言葉の語呂だけでなく、かつてマイナスイメージの強かったブルックリンが「アーティスト・クリエイター志向の若者が住む街」、「多様性を受け入れる街」へと変わったように、その可能性と期待を込めたネーミングにしたとのこと。

こちらも、豊島区のライフスタイルブックを作ったり、インスタグラムのハッシュタグ「#池ブルックリン」を作ったり、プレスリリースを草案したりと、すぐに実行に移す派! 極め付けに、「クラウドファウンディングの書類審査に通過しました!」という報告には、会場から驚きの歓声が。おまけに、募金箱まで作ってしまった(笑)。

印刷・配布などに協力してくれるひと、料理ができるイベントスペース、外国人コミュニティーと接点のあるひとを募集しています。

コラボレーション可能性タイム

「ライフスタイルブックに協力したい! 豊島区には素晴らしい書き手のみなさんがいるので、つなげていきたいです」

「市民の手で異文化交流のネットワークを作るというのは、時代に合っていると思う! ぜひ広げていただければ」

「イベントスペースあります! キッチン付きで、スクリーンも」


としまで子育て いろいろな子育てスタイルをみんなで楽しもう

メンバーに子育て中のママが多いということで、必然的にテーマは子育てに。

実際の体験からわかる子育ての孤独さを解消するため、目指すのは、地域で子育てができるようなまち。ターゲットは、子育てに関わる・関りたいすべての世代です。

地域を巻き込むこと、強制参加でないゆるい仕組みにすること、プラスの発見ができること、などの魅力的なコンセプトが掲げられる一方で、活用できる場がない、月一でのイベント継続は困難であるなど、課題も多いと感じているとのこと。

まずはフェイスブックページを立ち上げ、情報の一元化の難しい行政サービスの紹介などの情報共有をおこなうことにしました。「としまぐらし会議」の参加者にも、積極的に使ってほしいのだといいます。

コラボレーション可能性タイム

「無償で場所を提供します! お父さんたちを巻き込むのも、大切ですよね。全力で協力します」


としまっこ 育成&増殖プロジェクト

豊島区ゆかりのソメイヨシノにちなんだ「ピンクのアイテムを取り入れる」というドレスコードで、気合たっぷり。

プロジェクトのゴールは、豊島区在住・在勤のひとに熱狂的なとしまファン、つまり“としまっこ”になってもらうこと。

はじまりは、「みんな、としま愛、足りてないんじゃない?」という想いから。

「ただ、みなさんの発表を聞くほどに、魅力ある区だと再認識できました! あとは、魅せる手段。そこには、“経験と場”をつくることではないかと思います。経験こそが、鮮明に記憶に残るから」

具体的には、グルメ世界一周、スタンプラリー、パワースポット巡り、散歩ツアー、豊島区にある企業の社会見学など、あえてターゲットを狭めることで面白い企画にすることを目指しているそうです。

4月に、イベント第一弾の開催を企画しているとのこと。

コラボレーション可能性タイム

「私も、今日はたまたまピンクを着ています(笑)。近所のおいしいパン屋さん、ケーキ屋さんを取りあげて、いい反応が出れば、是非うちでポップアップをさせてください!」

「一見行政がやりそうなことに区民が入ってくるという発想が、いいなと思います。僕自身も“まちのプレイヤー”を3年間紹介しつづけているので、そういった“ひと”にもフォーカスして発信していただければ」


We Love Ikebukuro 世界で一番優しい街「池袋」を目指して

「はいっ! それでは、現場のレポーターを呼んでみましょう!」

「はい、こちら現場レポーターです! それでは、現場からお伝えします!」

なんと、ニュース中継風の発表スタイル!

池袋駅の不便さと、公園への愛着の薄さに着目し、駅のバリアフリー化と公園の緑化を課題としました。

駅の不便さに対しては、実際に車椅子に乗って地上行きエレベーターを探す実証体験をしてみて。公園に関しては、多機能トイレやベンチなどを掲載したマップを作ってみようとして。と、自分たちにできることから取り掛かってみたとのこと。

「そんななかで、気づいたことがあります!」

「………」

「レポーター! ここ、あなたのセリフです!!!」

セリフが飛んでしまうという思わぬハプニングに、会場は大爆笑。ライブ感のあるユニークな発表には、大きな拍手が送られました。

プロジェクト準備を進めるうちに、まちで休めるベンチが少ないことに気づきました。そこで、インスタ映えするようなベンチをまちに増やそうと、ベンチの設置場所を提供してくれる“ベンチの里親”とデザインを提供してくれるアーティストをマッチングするという施策に辿り着いたのだといいます。アートなまちとして知られる豊島区の魅力を、これから育ててくれることでしょう。

コラボレーション可能性タイム

「わたしは区の職員ですが、バリアフリーマップを柔軟にできないかなと常々思っていたところです。是非、コラボできたらいいですね」

「実は、アートを通じてまちを紹介するマップを作っています。バリアフリーという観点以外でも、なにか表現できたらいいですよね」


か・ま・く・ら

「今年も、まだ雪が降るかもしれません。そんなとき、ほのかな光がついたかまくらがあったら、入りたくなりませんか?」

ライブ感のある発表スタイルで会場を沸かせた先ほどのチームと打って変わって、包み込むようなやさしい呼び掛けではじまったのは、チームか・ま・く・らの発表。

誰もが健やかに暮らすための手助けをしたいという想いから、ヘルスケアに関するプロジェクトを立ち上げました。

「特に、まちの相談窓口の役割を果たしていきます。誰もがアクセスしやすいよう、主にSNSにて情報を拡散していく予定です」

池袋保健所の健康情報発信スペース「鬼子母神plus」の利用申し込みを行うなどの、場所さがしをしたり、すでに少しずつ行動に移しているようです。

コラボレーション可能性タイム

「レンタルスタジオを運営しています。裸足で使えるスタジオは、整体イベントなどでの利用も。是非、利用してください」

「としまで子育てチームです。実は、健康面での活動もしたいね、と話していたところなんです! 今後も、何か一緒にやっていけたらいいですね」


未来と絆を紡ぐとしまイベント

「いちについてー! よーい! どんっ!」の掛け声とともにはじまった発表。カラフルなハチマキを巻き、動きやすそうな服装で登壇。各自名前つきのゼッケンをつけているところを見ると、もしや……?

そう、テーマは運動会!

地域・世代間交流、本物に触れる、地域文化を知る。という3本柱のコンセプトを掲げ、地域交流の運動会を開催します。

開催日は体育の日。開閉会式には超エンターテイメントな要素を、開会宣言は豊島区長に、など、具体的なアイディアも決まりつつあるようでした。

「欲しいリソースは、マンパワー、開催場所、でも一番は、お金が欲しいです……!(笑)」

切実で正直な想いに、集まった企業や団体のみなさまからは大きな拍手が。

それぞれが役割を果たしながらその場を楽しむ一体感に、未来の運動会の様子を垣間見たようでした。

コラボレーション可能性タイム

「信用金庫です。はっきりお金の話が出たので、ここは手を上げておかないと、と思いまして(笑)。様々なイベント協力をおこなっておりますので、ご相談に応じます。」

「以前住んでいたところでは、実際に地域の運動会が開かれていました! 子供からおじいちゃんまで、幅広い層が集まっていましたよ」

「『お昼におにぎりを美味しく食べるため』というコンセプトを掲げて運動会をやっている知り合いがいます。僕自身も、運動会って“ピクニック”かなと思う。そんな風に、いろんな人が関われるアイデアを多角的に考えると楽しそうですよね」


ときをかけるとしま

9番目は、第3回の会議に参加できなかったメンバーが、自分の想いを伝えるために、急きょオリジナルのプロジェクトとして発表することになりました。区民ひろばが活用しきれていないことに着目しました。

そこで提案したのが、小規模の交流拠点をつくるプロジェクト。商店街の空き店舗を、一拠点一コンセプトを掲げて活用するというものです。

「そうすることで、商店街の顔を作りたいんです」

コラボレーション可能性タイム

「区民ひろばのような場所を、もっと活性化できればいいですよね」


池袋あちこちオーケストラ 日常アートカルチャー都市

そして最後の発表。まずはチームメンバーのひとりが壇上に立ち、ビデオ映像を流しました。

映像は、外国の路上で、バイオリンが演奏されるところからはじまります。道行くひとが、少しずつ足を止めて演奏を見つめるなか、どこからともなく楽器を持ったひとがやってきて、その演奏に加わります。またしばらくするともう一人、さらに一人……、最終的には30人以上が集まって、オーケストラができあがる。そんなストーリーでした。

「海外に目を向けると、まちのなかで生の演奏が聴けることは珍しくありません。それを、このまちでも実現したいんです! そこで、このプロジェクトを支援していただける企業を募集します。300万円の資金をいただけないかなと思っております!」

どどん! と大きく出ましたが、「決して高い買い物にはしない」とのこと。

地域で行われる演奏会の動画を年間20本ウェブサイトにアップし、それぞれの動画で企業の宣伝を。また、企業内の式典には、無料で出張演奏する。そういった具体的なメリットを提示しながら、プレゼンしていきました。

発表が続くなか、突然、会場に座っていた他のチームメンバーや参加者のみなさんが、続々とステージに集まっていきます。

「日々を豊かに」、「まちに生の音楽を」、「わくわくする」、「もっといいPARKを」というようなメッセージが書かれた紙を掲げながら。

ひとが集まることで大きなパワーにつながることを実際に感じさせてくれる、素敵な演出でした!

コラボレーション可能性タイム

「西口公園のステージを、平日の夜にストリートミュージシャンに解放する施策を1年半くらいやっています。ステージの提供という意味で、協力できるのではないかと思う」

「老人ホームなどに音楽家を派遣するNPO法人です。活動のなかで、さまざまな音大生とも関わっていますが、日本にはクラシック音楽が浸透していないので、音楽の道から逸れて行く人が多く、そこに問題意識を持っているんです」

「鉄道会社です。池袋駅から、アートを通してまちを盛り上げようと活動中です。音楽という切り口は、いいですね。たとえば広告媒体という部分で、ご協力できると思います」


おわりに

全チームの発表が終わって、改めて会場からは大きな拍手が送られました。
最後に高野区長からのあいさつで、「としまぐらし会議」は締めくくられました。

「それぞれが真に迫り訴えかける発表で、あっと言う間の2時間でした。みなさん一人ひとりが本当にこのまちのことを愛し、真剣に考えてくれていることに、胸が熱くなりました。さまざまな企業や団体がここに集まっていますが、一番刺激になったのは、うちの職員じゃないかなと思っています。たとえ消滅可能性都市と呼ばれようが、まだまだ、これからです。今日のひとつひとつのプロジェクトを聞いていて、改めてそんな強い想いを感じました」

全4回にわたって開催されてきた「としまぐらし会議」は、これにて、お開き。ただ、これからが各プロジェクトの本当のスタートでもあります。

「としまぐらし会議」に関わったすべてのひとが、きっとこの先、まちの未来を担ってゆくことでしょう。そして、このレポートを読んだあなた自身も、すでにその一端を担っていると言えるかもしれません。

文:高阪 正洋 写真:栗原 論

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